鬼姫マラントデイズ
「…行くぞ、


あいつらのところに」




「……うん!行こ!」




ちょっとした沈黙の後に、私たちはすぐに笑いあった。


けど胸の鼓動はどんどんスピードアップしていく。




感じたことのない感情に、ちょっと頭がくらくらしてくる…





「…?おい、行くぞ」



すっと私から律希は離れると、背中を向けて歩いていく。



あれ…おかしいな。



今、



寂しい…そう、思った…






背中を向けていた律希が、少し先のところでくるっと振り返った。



「おい!早く!

みんないるぞ!」




みんながいる。

そんな重要な言葉に過敏に反応できないほど、私はぼーっとしていた。




…違う。




律希に、見惚れていた…?



振り返った律希は、黒髪とその赤のメッシュはキラキラと太陽に反射していて、

小さく微笑んでいた。




…とく、とく、とく、とく。




おかしい。


この感情は…なに?







< 220 / 304 >

この作品をシェア

pagetop