鬼姫マラントデイズ
「これで学校行こうね、金鞠!」




「うん!」




金鞠はふにゃあっと優しく微笑んだ。



…彼女だって、歩いている。




こんなに小さい金鞠。


見た目の可愛さには隠れて見えないけれど…彼女は母親と放れ、異界で暮らしている。




きっと苦しいはずなのに…笑って。



小学校に通いたい、と言い始めたのも金鞠だ。




金鞠のお母さんを妖界へ送った後、律希から聞いた。




1回でも、少しの間だけでも。



物の怪となってしまった妖を…完全に救うことは何年もかかるのが普通だと。



この先、金鞠は何年も母親と離れて暮らさなければいけない。



そのために…人間界で、『強くなるために』がんばっている。





あの日の約束を…金鞠は、果たすために。





『強くなるから』








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