鬼姫マラントデイズ
「………父さん…」




…一ノ谷滅希。


鬼斬り陰陽師を束ねている…つまり、鬼斬り陰陽師で1番偉い人。






彼は律希に向かって、小さな声でたずねた。




「……律希。ここにいるか?」





滅希は優しい表情を浮かべた。


それは、陰陽師が妖と戦う時に見せる恐ろしい顔ではなく…



一、父としての顔だった。





「…はい。ここにいます」



滅希は少しうなずくと、こちらを…私の方を向いた。




もう40代だろうに、老けを感じさせない若々しい顔。

あの頃と…全くと言っていいほど変わっていない。




そろそろ代を変えると言っているらしいけど、


まだまだ元気そうだ。






「…久しぶりだね、



霧花」






「…ええ、そうですね」





< 239 / 304 >

この作品をシェア

pagetop