鬼姫マラントデイズ
カコの鎖
「あの日の君も…まだ幼いというのに、
そんな憎しみにこもった目を残し…戻っていったね」
「…そうですね」
「今でも鮮明に覚えているよ、あの日のことを。
君も…そうだろう?」
…うなずくのは癪に触るけど、もちろん覚えている。
あなたに再会して…もっと鮮明に思い出せたよ。
今だって、目を閉じれば…
ほら、聞こえてくる。
愛しい、あの人の声が。
*
「おかあさまー!」
たったった…っと、小さな女の子が
母親の元へと駆け寄った。
「ふふ、どうしたの?霧花」
まだ3つか4つ程の年であろう彼女。
それに似合った、愛くるしい笑みを浮かべながら母親へと抱きついた。
「人間界に行くって本当?
私も連れてってくれるって、本当!?」
「ええ、本当よ。
一緒に行きましょうね」
「やったあ!!初めてだぁ!」
霧花の母親が人間界へ行く目的…それは、
彼女の育ての親が亡くなったと聞いたからであった。
両親を小さい頃に事故で亡くしていた母親は、
母方の叔母に18歳まで育てられた。
その叔母が亡くなったという…
優しかった彼女は、自分の命が狙われてると分かっていながら、
叔母の元へ行こうと決心したのだ。
付き添いの者を何人も連れたら、大丈夫だろう。
ならば、霧花にも人間界という素晴らしい世界を見せてあげよう。
そう、母親は思ったのだ。
そんな憎しみにこもった目を残し…戻っていったね」
「…そうですね」
「今でも鮮明に覚えているよ、あの日のことを。
君も…そうだろう?」
…うなずくのは癪に触るけど、もちろん覚えている。
あなたに再会して…もっと鮮明に思い出せたよ。
今だって、目を閉じれば…
ほら、聞こえてくる。
愛しい、あの人の声が。
*
「おかあさまー!」
たったった…っと、小さな女の子が
母親の元へと駆け寄った。
「ふふ、どうしたの?霧花」
まだ3つか4つ程の年であろう彼女。
それに似合った、愛くるしい笑みを浮かべながら母親へと抱きついた。
「人間界に行くって本当?
私も連れてってくれるって、本当!?」
「ええ、本当よ。
一緒に行きましょうね」
「やったあ!!初めてだぁ!」
霧花の母親が人間界へ行く目的…それは、
彼女の育ての親が亡くなったと聞いたからであった。
両親を小さい頃に事故で亡くしていた母親は、
母方の叔母に18歳まで育てられた。
その叔母が亡くなったという…
優しかった彼女は、自分の命が狙われてると分かっていながら、
叔母の元へ行こうと決心したのだ。
付き添いの者を何人も連れたら、大丈夫だろう。
ならば、霧花にも人間界という素晴らしい世界を見せてあげよう。
そう、母親は思ったのだ。