鬼姫マラントデイズ
*
途端、意識が戻る。
はっきり言ってしまうと、あの日の細かいことはちゃんと覚えてなどいなかった。
ただ単に忘れていただけかもしれないし、
脳の中の記憶を司るところが、意図的に隠していたのかもしれない。
初めて見た術だった。
滅希が何やら術を唱えたかと思うと、
自然と意識が離れ…
『第三者』視点で、
目の前で繰り広げられた…『あの日』の出来事。
テレビのドラマのようなその世界は、
私の中の記憶が持つ世界だった。
彼が出した術は…対象の持っている記憶を映像化させ、見せることなのか…
「…思い出したかな」
「ええ。はっきりと。
…頼んでなど、ないですけどね」
「はは…確かに君はあの目をしていた同一人物だが、
随分大人になった」
ついさっきも同じようなことを言っていた気がするけれど。
そう思いながら、私は言葉を紡ぐ。
「…別にあなたを恨んではいません。
妖が陰陽師を殺すことも、
陰陽師が妖を殺すことも、
私たちが住む世界では…当たり前であり、日常なのですから」
滅希は小さくうなずいていた。
彼もきっと、根は優しい人なのだろう。
だからこそ…思うことはいっぱいあるだろうけれど。
途端、意識が戻る。
はっきり言ってしまうと、あの日の細かいことはちゃんと覚えてなどいなかった。
ただ単に忘れていただけかもしれないし、
脳の中の記憶を司るところが、意図的に隠していたのかもしれない。
初めて見た術だった。
滅希が何やら術を唱えたかと思うと、
自然と意識が離れ…
『第三者』視点で、
目の前で繰り広げられた…『あの日』の出来事。
テレビのドラマのようなその世界は、
私の中の記憶が持つ世界だった。
彼が出した術は…対象の持っている記憶を映像化させ、見せることなのか…
「…思い出したかな」
「ええ。はっきりと。
…頼んでなど、ないですけどね」
「はは…確かに君はあの目をしていた同一人物だが、
随分大人になった」
ついさっきも同じようなことを言っていた気がするけれど。
そう思いながら、私は言葉を紡ぐ。
「…別にあなたを恨んではいません。
妖が陰陽師を殺すことも、
陰陽師が妖を殺すことも、
私たちが住む世界では…当たり前であり、日常なのですから」
滅希は小さくうなずいていた。
彼もきっと、根は優しい人なのだろう。
だからこそ…思うことはいっぱいあるだろうけれど。