鬼姫マラントデイズ
「…ただ、もう1つ言わせていただけませんか」




「…なにかな?」




私は、ふうぅ………っと、深く息を吐いた。



そして…指先に妖力を込め…




パチンっ………と指を鳴らす。




私の姿は…人間の姿から、妖へと変わった。




「母は、人間の肉体から…妖の肉体へと変わる術を受けた。


その結果、母は人間とは違う『強靭な肉体』を得た。まぁ、芯は人間でしたが…」




「何が言いたいのかな」





「…私は、鬼の村に1度戻りたい、そう思っています」





視界の端で、律希がはぁ!?って感じな表情をしていたのが分かった。


目の前の滅希も不思議そうな顔をしていた。




「私は、人間になりたい。

確かに人間は弱いですし、醜いところも多い。


けど、この半年程、人間界で暮らして分かりました。


人間は、決して汚ないものじゃないんだって。


綺麗なところもいっぱいあるんだって。




そして、なにより…楽しかった」




目を閉じて、ふっと顔を上げた。




「あちらでは特別扱いなかりで、気楽に話せる相手など1人しかいなかった。


けど、ここでは誰もが私に分け隔てなく接してくれる。


それが嬉しかったんです」






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