鬼姫マラントデイズ
待って、という心とは裏腹に、


手を私は振っていた。




まだ熱い心を押さえつけるように、胸のあたりに手をおく。





「…なんだろ、この気持ち…」





ほおが熱い。

体が熱い。


君に、会いたい。もっと、話したい。





まるで、






病気にかかったみたい。











そんなことを考えながらマンションのエントランスホールへ入って行ったから、




もちろん私は気付かなかった。








「…霧花。

準備は、整ったから」







物陰から私を見ている人物になんて、





気付くはず、なかったんだ。





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