鬼姫マラントデイズ
確かに…昨日の夜、律希と別れて。



それから、エントランスホールに入ろうと…した。




いや、入ってない。


入ろうとして…意識が消えた。




「てことは…ここは、もしかして…」




周りをぐるっと見回すと…そこは、あの人の以来訪れてなどいない、


『自分の部屋』だった。




懐かしい匂いがする。畳の匂いも、花の匂いも。


あの日のまま、で。




そう、ここは族長と副族長が住む屋敷。


そう、ここは…鬼の村。





「…目が覚めた?霧花」





声の方へと顔を向ける。



「…な、んで…」





久しぶり、と彼は笑った。



懐かしい…懐かしい、



たった1人の幼馴染…







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