鬼姫マラントデイズ
私は確かに昔から不幸だった。



片方のツノに中途半端な薄い赤の目。

おまけに髪は白銀を輝く純血者と対称的な濃紺色。




けど…




「私さ、1年前だったらお母様を恨んでいたかもしれない。


けど逆に、今は感謝しているんだよ」





「なんで?」




「…決まってるじゃん、

皆に会えたからだよ」





自然と笑みがこぼれた。


皆の顔を思い出すだけで。



自然と、ほおが緩んで。





…涙腺もゆるんだのか、



一筋涙が流れた。






「霧花は、君のお母様程強くないと…勝手にそう思ってる」



「…その通り、悔しながら私はお母様より弱い」





けど、と妖矢は続ける。






「君のお母様は…選択を誤ってもなお、後悔しなかった。

それは確信してたんだと思う。


霧花を、信じてたんだろうね。君のお母様は」






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