鬼姫マラントデイズ
「そういうお前は誰だ」



「⁉︎」



な…今、右奥の大机らへんから声がした⁉︎


ど、どうゆうこと…さっきまでは左…次は右…


これも妖力でいろいろ操ってるってこと…?




………強敵、か。


久しぶりにこんなに強そうな敵と会った。


怖い反面、スリル感や面白い感じがする私もいる…




戦い好きで乱暴者、それが鬼……それは、間違いだとも言い切れない。



ただそれだけじゃない、優しさや人情深いところもあるのが鬼。



けど…私たち『鬼』はもともと戦いが好きなのだ。



それは本気じゃなくって、遊びの戦いだったりもするけど。




けど……初めて、戦いがこんなに楽しみなのは。



どんな妖が…出てくる?



私は弓を構え、魔矢と呼ばれる矢をセットする。



ギリリ…と引っ張る……限界まで……



そして、私の指は矢と一気に離れた。


「…烈火魔の弓‼︎」



烈火のごとく燃え上がった火の弓は…左奥の棚を目指して行く!


ゴオオオォォという火の音を聞こえさせながら、10m程遠くにある棚まで…一直線で!



けど…これだけじゃないよ⁉︎



「氷魔の弓!」


今度私の指先から離れ飛んで行った弓は、さっき出した烈火魔の弓とは違う…正反対!


氷を付け、触れたものをたちまち凍らせてしまう術がかかっている。




正反対の2つの矢…



どっちかに当たってくれる⁉︎





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