鬼姫マラントデイズ
動かないで。止まって。



ねえ、お願い。




「助けになんか…こないでよ…」





私の呟いた言葉も、鬼達の咆哮で掻き消された。




「霧花様が来たぞ!守れ!」



「敵を捕らえろ!」





…やめて、やめて。



声が引っかかったように、口からはなにも出ない。





「…やめ、て……」



やっと出た言葉も、全て消えてしまう。




「に、げ…」



叫んでも届かない。



皆…皆……!




逃げて。



逃げて。






「逃げて…


逃げて、みんなあああぁぁー!!」






妖力が弾けるように、体の中が力で満たされてゆく。




熱い、熱い。





「おねが…い、逃げて!みんな、逃げて!!」






がむしゃらに叫ぶ。



力が入らない。大した術もかけてないのに、なんで。


妖力は湧き上がるように出てくるのに、力が出てこない。




膝がガクンと折れて、倒れこむ。


必死に手で体を支えるけど…もう、無理…







「……やっと、見つけた」







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