鬼姫マラントデイズ
私の中で沸騰していた妖力が。



壊れ始めた体力が。





彼の言葉で、彼の逞しい腕で、



全てが1瞬で…なおった。





「…り、つき…?」



「…急に帰ってこなくなるとか、

そうゆうのやめろよ」



「ごめ、ん…」




顔は見えない。


私がうつむいてる形で、後ろから抱きしめられてるような感じになっているから。



けど、声だけでも。




私の心拍数は、ドンドン上がってゆく…





「ま、でも…

お前に会えて、今俺…例えようのないぐらい嬉しいし、

許してやるよ」







ドクンっ!と一瞬心臓が凄く跳ね上がる。



顔が熱い、体も熱い。





「…わたし、も…」






愛おしい。


それは、友達に対する愛しさじゃない。



今までとは違うような…愛の形が、





私の胸に生まれた。







「…姫を攫ってく騎士、ってガラじゃないんだよね。

一応俺、和食派だし?」







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