鬼姫マラントデイズ
なに言ってんの…


騎士って…




「律希が騎士なんて勿体無い。

王子様だって…」



私は笑って答える。

だって、ピッタリじゃん。


律希は王子様だよ。



なんだかんだ優しいところが。本当は皆の幸せを願っているところが。

口は悪いけど、優しいところが……





「…ありがと、

じゃ、逃げるかお姫様?」






私をそっとお姫様抱っこすると、律希はものすごいスピードで走り出す。





「みんなにも俺が逃げたら逃げるよう言ってあるから、

安心しろ」





「…うん!」





「これで人間界にもどろう…な?」







…その問いに、私は答えることなんて、できなかった。





ただただ…うつむくことしか、



できなかった。






「霧花!」






後ろから響く…あの人の声。






「…よう、や…」






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