鬼姫マラントデイズ
律希はまるでそんなの聞こえていない…とでも言うように、


無言で走り続けた。




木の中を走り、野を走る。




「…くそ、ここも塞がられてる」





鬼の村から人間界に出られる場所は限りがある。



そこにはすでに…回り道をしていた鬼達がたくさんいた。




きっと、睡眠薬の効果が切れた者も多いだろう。






「あっちに見えたぞ!追え!!」





血なまぐさい匂い。




こんな匂い…お祖父様が族長を勤めていた時代に1度もしなかっただろう。





鬼達の命は簡単に滅びることはない…が、



そんな鬼達を簡単に殺してしまう程、皆は強かったということか…








「…ここで最後、か」






律希が大ジャンプをして、高い木の枝の上に立った。




そこからは…もうすでに最後となった、人間界への道があった。





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