鬼姫マラントデイズ
けど、もちろんと言うべきか。




そこにはもう何十人もの鬼達がいた。




男も女も関係ない。


年寄りも子供も関係ない。




皆、武器を構えて





敵が来るのを待っている…






「…他の所の警備が薄れたかもしれない。

戻ろう」



律希が別の木の枝に飛び移ろうとした…その刹那。





「…そうはいかない」






目の前の木には、もう1本に2、3人ずつぐらいの鬼達がいた。





…しかもこの鬼達は、


鬼の村でも有名な…強者達だ。




今までのように簡単にはいかないだろう。






「…霧花様を返してもらおう!」




「そうはいくかよ!」



律希はそのまま右足に力を入れて、一気に飛び降りる…!





「今だ、打て!!」





聞こえた鬼の声。



それと同時に…弓がギリリと軋む音が聞こえた。




「律希、逃げて!」




「わかってる!」




「そうゆう意味じゃなくって…!」





ヒュンヒュンと襲ってくる矢の大群を、律希は易々と避けてゆく。




律希、お願い…逃げて!






気の影に隠れた所で、思いっきりドン!と律希の胸板を押す。






「っ、おい霧花、どうした!?」



そのまま律希はバランスを崩し、私はスッと地に降り立つ。





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