鬼姫マラントデイズ
「霧花様、どうぞ」





鬼達が数人、私を取り囲む。




「では、行きましょう」





1人の女の使いがそう言って、皆が歩き出す。




私は…1人、あの時をまた思い出す。




あの決断に、悔いはない。


悔いなんて、感じてはいけない。






『草眠木生』


青の術の…空間移動術。




強い妖力が必要だから、便利な術だけど…滅多に使われない術。





私はあの日、矢にその術をかけて…



対象をあの4人にして、





矢を打った。






…打った後は、静寂が残った。




そしてすぐに、






私の小さなすすり泣く声が…響き渡った。












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