鬼姫マラントデイズ
だから私が言わなくても、あっちは分かってたはず…




「そうなのか?」



がくっ‼︎


「はぁ⁉︎知らないわけ?

あんた、鬼のくせに⁉︎」


「……別に知らない」



「てゆうか、早く姿を現して…連射するよ?」



私の言葉に…姿を見せぬその『声』は少し笑った。



「俺を殺せるとでも思う…?

元・お嬢様鬼さん?」



……む、ムカつく!


なにこの鬼…超絶イラつくんですけど!



なに、私が族長の孫娘、という地位じゃなくなった瞬間この対応⁉︎




「私が普通の身分…いや、最低の身分になったからって…

あんた、態度変わりすぎ!前の私相手だったらペコペコするくせに!」



「しないよ?」


「………え?」


「だから、しない。するわけない、お前みたいな奴に」



……いや、本当にムカつく!

じゃない、今そこじゃない、ツッこむところ!



「あんた……鬼じゃない…?」



私の言葉に、初めて相手は反応しなかった。



じゃあ…肯定、と受け取って良いんだね?




「…鬼ならまだ情がある、けど別なら容赦はしない!

『雲隠れ、滅!』」



私は弓を構え、一気に矢を引く…音もなく一気に天井へと目指すその真っ黒な矢は、妖力無視という効果がある。


相手の姿を見るためだった。




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