鬼姫マラントデイズ
ハアハアと軽く息を乱しながら入り込んだ彼は、私にニカッと笑みを見せる。


その笑顔はやっぱりかっこよくて…うん、見惚れちゃいそう!


「ありがとう!

えーっと…名前、聞いてもいいかな?」


「あ、は、はい…神城霧花です」


「霧花さん、か…この際同じマンションの縁があったんだし、霧花って呼んでもいいかな?」


なっ…!

あの全校生徒の憧れである生徒会長に呼び捨てなんて…!



いや、でも周りの女子生徒たちが黙っていないかも…?



「あ、もちろんです…いや、無理です…いや、でも…」



私の優柔不断な様子に、ははっと平井先輩が苦笑した。



「いいよ、気を使わないでも。

僕が呼びたいだけだしね…で、何階?」




「あ、34階です」




平井先輩、優しいなぁ…それに気さくだし。


いい先輩だ!




そう思って先輩を見ると、驚きを隠せない、と言った様子な表情をしていた。



……ん?どうしたんだろう?



けどすぐに先輩は笑う。


そしてポン、と34と書かれたスイッチを押す。



それからすぐ、エレベーターは上がって行った…




「えっとぉ…先輩は何階ですか?」



「僕?

……実はね、同じ」



……はい?



今…なんて?




「僕も34階なの」






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