鬼姫マラントデイズ
34階から下に行き、1階…



エントランスで何人かの人に挨拶して、外へ出る。




……5月の爽やかな風が、私に吹きかけた。




鬼の村も……今は、良い風が吹いているのかな。



そう思うと、やっぱり寂しい。



けど…過ぎたことは、気にしないんでしょ?



なら…今は前を向かなきゃ。




とりあえず今は、呉服屋を探そう!




足の向くまま、自分の気分で歩くこと30分。





なんと…ありました、呉服屋!



さすが西の方、呉服屋も高層マンションから30分歩けばあるんだね!



しかも…でかくない?




いや、人間界の呉服屋始めて見たけどさ。


大きい濃紺の…私の髪色と同じの…のれんがかかっていて、


平屋だけど横幅も40mぐらいあるんじゃない?



周りは木がたくさんあって、奥行きは分からないけど…かなり広いよ、ここ。




良いところを見つけたな。


右手でのれんを上げ、中に入る。




「いらっしゃいませ」



綺麗な着物に身を包む女の人が、深々と頭を下げながら言った。





……やっぱりここ、日本の店は素晴らしいね!



始めてお店に来た時びっくりしたもん…



本に『日本人は礼儀正しい』って書いてあったのは覚えてたけど…



まさか、こんなに礼儀正しいとはね!




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