鬼姫マラントデイズ
…よし、捨て身の攻撃だよ、もう!



わざと攻撃に当たろう…ってどこに?



「わっ、また来た!

って、ちょっと考える時間頂戴!」



この寒さの中、しかも着物姿の私は動きが鈍い…

襲いかかる謎の攻撃も暗さのせいかよく見えないし、

敵も影1つ見えない。



早くしなきゃ、店の人も来る…!


妖力でドアが開かないようにしてるとはいえ、その術も時間の問題だっつの!



どうしものかと考えてると…どこからか、女の子のすすり泣くような声が聞こえた。





『お姉さん、強いの…

怖い…怖いよ、怖いよ、怖い怖い怖い怖い怖い…!



お願いだから…私を殺さないでえぇぇ‼︎』




や、やっばい!来る、強いの絶対来るって‼︎




前方から、すっごい冷気+妖力が私に襲いかかって来る…‼︎




「弓器出し!

間に合って…光雷神‼︎」



放たれた魔矢は、前へと一直線へ進んでいく…けど!



『こんなの…今のあたしには効かないもん…!』



光を放ってたはずの矢が、急にふっと消えて…

カラン、と地面に落ちる音がした。



どうしよ、この子今、恨みだけじゃなくって興奮もしてるから…普通以上の力が出るんだ!




『お姉さん…もう、終わりにしよ…?』



その声が聞こえた瞬間…



強すぎて苦しくなるほどの妖力の…『塊(かたまり)』が

来るのが分かって…




「っ、!」




私はその強い妖力に向かって…


がむしゃらに、左手を伸ばした…!





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