鬼姫マラントデイズ
妖力の塊が、私に向かって来るのが分かった。



あぁ、もう終わりか…



そう思って目を閉じた、その時に。







『っ!なにこれ…

強いの…



怖い…




お兄、さん…やめて!』






お兄……さん?



私は静かに目を開けた。


目の前は…真っ暗。

いや、違う…人の後ろ姿⁉︎




「………狐の子か。

なにに恨みがあるのか知らないけど、


ここで…暴れるな」




なに、この人…






言葉の節々にある鋭いトゲ…いや、子供だよ相手、妖でも!



泣いて暴走でもしちゃったら…それこそ終わりだって!



挑発しすぎだって‼︎




「ちょっと、あんたなに…⁉︎」


「鬼は黙ってろ」


「‼︎」




な、に、こいつ…



この気迫は…妖力⁉︎


それにこの妖力の感じ…前にどこかで…



それにこの声、ついさっきの店員……⁉︎







「借りはいつか返せよ、鬼。


そうだな、まずは…



裏生徒会にでも入ってもらうか」






こいつ、



学校で会った…





「陰陽師…⁉︎」


しかもさっきの店員…全然気付かなかった。


でも…声は一緒だけど、店員さんと顔は違う。


姿変化の術でも使ってたってことか…


それにさっきの店員さんには『証』がなかった…気付くはずもない。




彼の黒髪の左耳際には、

鬼斬り陰陽師の証……赤のメッシュが入っていた。










< 57 / 304 >

この作品をシェア

pagetop