鬼姫マラントデイズ
「『状態回復・水』……!」



鬼は術を唱える系がすごく苦手。


唱えられはするけど、効力がとてつもなく小さかったりする。



けど、水の術を流せば…電気は少しだけど小さくなる。


これはただの理科。


真水は電気を通しにくい…青の術に黄の術は強いけど、

この場合は黄の術の方が弱い。



私の手から、シャボン玉のような大きい丸い水の玉が出て来て、

子供の妖狐を……優しく包んだ。




『あう………あ…………ぁ………』




水に包まれた子供の妖狐は、着物姿の普通の女の子のようだった。


腰まである綺麗な金髪に、同じ色の耳とふさふさの尻尾さえなければ、だけどね。



「……可愛い」





思わず呟いてしまうほど…可愛い!


白くぷっくりとした肌にながいまつげが縁取られた目(今は閉じてるけど)。


けど…

ところどころ黒いすすみたいなのがついてるな。



さっきの電気の術のせいかぁ…



私のよっっわい術でも、少しは収まったかな。





「…バカ陰陽師」


「なんだ、バカ鬼」


「このこの術を解いてあげて」



バカ陰陽師は私の言葉に、後ろからはああぁ〜…っと大袈裟なため息で返事した。



「もうとっくに解いてるっつの」



………え?


あー…だから思った以上に回復してるのね、この子。


いや、私の術も上手くなったなぁ…とか自惚れてたよ、少し。



な、なぁんだ…はは……




「…ま、ありがと。

それとこの子、私が預かるから」



「……は?」





< 61 / 304 >

この作品をシェア

pagetop