鬼姫マラントデイズ
……アホヅラしてるんじゃないわ、このバカ陰陽師。



「聞こえなかった?

私が預かるって言ってんの」



「……聞こえないな。

預かるとかなんだとかバカな言葉は聞こえない」




……ムカつく。




「分かった、バカ陰陽師は聴覚もバカと。


じゃ、ばいばーい」



私は優しく薄い水の膜に包まれてる少女を持ち上げた。


……軽いな。


よし、帰ろう…「おい!」



「……ん?」



「ん?じゃないっつの。

その妖狐は俺の家で調べる…返せ」



「やだ。

だってこの子かわいそうじゃん…私の部屋1人にしてはでかいし、この子ぐらい置けるって」



「じゃあ俺の家が調べてから…」



「絶対だめ‼︎‼︎」




私の声に、一瞬バカ陰陽師は驚いた顔をする。


……つい、怒鳴っちゃった。





だって…こいつ…いや、こいつ含む陰陽師たちは

得体の知れない妖や敵である妖を…調べるとかなんとか言って…


酷い『拷問』に入るから。



そんなこと…こんな小さい女の子に、させたくなんかない。




……命を落とす者も多い、『調べる』という作業に…連れて行きたくなんか、ない。





「……いいでしょ?」


「ああ」


「はぁ、あんたしつこ…!

……え?」




い、今なんて言った?







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