鬼姫マラントデイズ
彼の大きいけど細い手が、私のほおへと触れて、そっと襟に付けられた。



くすぐったくて、少し笑ってしまった。




「……ありがと?」


「疑問形はいらないだろ?」




今までちゃんとした笑みを、全然ってぐらい見たことがなかったけれど…(不敵な笑みは数回みました)


ニカッとキラッキラな笑顔を見せた彼に…


私も乙女ですもの、心をくすぐられたのは、言うまでもないでしょう。






「………よろしくな、改めて」


「……意味分からないけど、まあ楽しそうだし」




「顔、笑ってんだけど」


「……認めないし」




ほおが緩むのも、仕方ないでしょ?




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