【短】俺の花嫁!
「薫も知ってるでしょ?私は凡人よ?そんな高貴なパーティーに沿ったドレスも、アクセサリーも、振る舞いのスキルも持ってないの。私が行ったって、薫の代行人は務まらないに決まってる。」
『当日のドレスアップは私がするから!』
「え?」
『もちろん、費用も私が負担する。それに、振る舞いって言ったって、ただの立食パーティーだし、それも名前だけ。規模も大きいし、一人一人の振る舞い方なんて、誰も気にしてないわ。茉央が行ったって、十分立ち振る舞えるわよ?』
「ちょっ…はぁー。」
ダメだ。
どんなことを言っても、薫は私にパーティーに行かせる気だ。
こうなった薫は、誰にも止められないことを、私は昔からよく知ってる。
「そもそも、どうして私に?会社代表としての出席なら、会社の人に頼めばいいじゃない。秘書課の同僚にでも頼めば、快く引き受けてくれると思うけど。」
薫の大企業の秘書課の人たちの方が、よっぽど私よりは代行人は向いているというのに。
『パパがダメって根回ししたの!どうしても、主催側のグループの御曹司と私を引き合わせたいんだと!私には心に決めたダーリンがいるのに!酷くない!?』
「う、うん…まぁ。」
薫の迫力に、私は頷くことしかできなかった。