花の下に死す
 (清盛の父の威光?)


 義清はふと疑問に思い、口走った連中のほうを振り返ったが。


 すでに離れた場所に歩き去っていた。


 (清盛のお父上は……)


 清盛の父は、平家一門を率いる棟梁(とうりょう)・平忠盛(たいらのただもり)。


 鳥羽院に重用され、朝廷内で「公卿(くぎょう)」と呼ばれる「従三位(じゅさんい)」の地位に叙任されるのも目前……と噂されていて、武士階級の最高権威を保持している。


 武士が公卿になった前例はない。


 もしこのまま忠盛が公卿となれば、それは史上初の快挙であり、武士全体の地位も向上するだろう。


 同時に平家の権威も。


 そんな平家に他の武士たちは、協力の姿勢を取る者もいれば、妬みや競争心などで快く思わない者も多い。


 必ずしも武士階級は、一枚岩とは言えなかった。


 武士の台頭を苦々しく感じている貴族階級に、そこを付け込まれ続けているのだ。
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