花の下に死す
 (だけど、いくら武士の中では最も力のあるお方とはいえ。鳥羽院が忠盛さまに対して、配慮するような人事をすることがあるのだろうか?)


 義清にはよく分からなかった。


 「全く。陰口を叩くのは女の仕事かと思っていたが、男同士の方がよっぽど陰湿だな!」


 清盛は憤慨していた。


 確かにそうだと、義清も感じた。


 男の場合、任務や出世など、他者との競争が多い。


 それだけ嫉みや妬みの要因が転がっている。


 平安時代、貴族の時代になってからとりわけ、実際に血を流すような武力衝突はあまり見られなくなったが。


 その分裏工作というか陰での駆け引きで、敵を追い落としたり追放して政治生命を絶つような悪質な陰謀が日常茶飯事。


 さらには呪いをかけるなどの行為も……。


 「陰でぐちゃぐちゃ言わないで、みんなの前で相撲でも取って、勝ったほうが正しいとかすれば、白黒はっきりするのに」


 「そうなれば清盛、お前が最高権力者になれるんじゃないか」


 笑いながらそのまま、二人は任務を終え帰路についた。
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