花の下に死す
四、乱れて今朝は
***
(あっ、佐藤義清さまよ)
(いつも素敵……)
義清が任務に就く度に、御所の女房たちの熱い視線を受ける機会が増えた。
(麗しいお姿にあの優れた歌の数々。私もあんな風に愛されてみたいわ)
……きっかけはだいぶ以前に、同僚の恋文を代筆したことだった。
心とろかすような文章に、とどめを刺すのは甘い和歌。
しかしいつもは無骨な男が、突如としてあでやかな和歌を詠んできたため、相手の女は不審に思った。
しつこく問いただしたところ、男は同僚である佐藤義清に代作を頼んだことを白状した。
そんなことを繰り返しているうちに、義清の和歌の腕前は御所でも噂になり始めた。
やがて義清の名声は、待賢門院藤原璋子のそばに仕える女房・堀河(ほりかわ)の元にも届いた。
自らもまた名高い歌人である堀河は、佐藤義清なる若者が、武士階級でありながら和歌に優れていることを知った。
(あっ、佐藤義清さまよ)
(いつも素敵……)
義清が任務に就く度に、御所の女房たちの熱い視線を受ける機会が増えた。
(麗しいお姿にあの優れた歌の数々。私もあんな風に愛されてみたいわ)
……きっかけはだいぶ以前に、同僚の恋文を代筆したことだった。
心とろかすような文章に、とどめを刺すのは甘い和歌。
しかしいつもは無骨な男が、突如としてあでやかな和歌を詠んできたため、相手の女は不審に思った。
しつこく問いただしたところ、男は同僚である佐藤義清に代作を頼んだことを白状した。
そんなことを繰り返しているうちに、義清の和歌の腕前は御所でも噂になり始めた。
やがて義清の名声は、待賢門院藤原璋子のそばに仕える女房・堀河(ほりかわ)の元にも届いた。
自らもまた名高い歌人である堀河は、佐藤義清なる若者が、武士階級でありながら和歌に優れていることを知った。