花の下に死す
 ……その後義清は、折を見ては堀河の元へと通うようになった。


 家族には「夜勤」と称して。


 璋子に近づくための手段として堀河と関係を持ったはずだったが、いつしか夢中になっていた。


 璋子の側近として権限を有する、年上で教養のある公家の女との交際は、義清にはかなり刺激的なものだった。


 恋愛の駆け引きを楽しむ以外にも、機知に富んだ会話のやり取りなど、知的好奇心を満たすのに十分だった。


 相変わらず自尊心が強く、なかなか自分の本心をさらけ出さない女ではあるが……。


 「私たちがこうして夜を重ねている間も、待賢門院さまは孤独な時間を過ごされていると思うと」


 関係を持ち始めて、しばらく過ぎた夜のこと。


 ついに義清は堀河に切り出した。
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