花の下に死す
五、ものをこそ思へ
***
「義清。最近堀河さまと親しく付き合っているんだって?」
ある日任務についていたら、同僚の平清盛にそんなことを聞かれて、義清は焦った。
「大した奴だなあ。真面目そうな顔して、待賢門院さまのところの女房と。身分も年齢も向こうのほうがずっと上なのに、よく口説き落とせたな」
「……ただ歌を通じての交流だ」
義清はごまかした。
「頻繁に通い詰めて、朝帰りを繰り返しているそうじゃないか。奥方にも気づかれているんじゃないのか? 急に夜勤が増えたと言い訳しても、無理があるだろ?」
「……」
義清は答えに窮した。
「……ちょっと気になっているんだけど。お前、待賢門院さまのお姿を見てしまってから様子が変だった。いきなり堀河さまに接近し始めたのもそれからだ。お前まさか、大それたことを企んでいるんじゃなかろうな」
何も考えていないように見えて、清盛は非常に勘がいい。
清盛の追及に、義清はかなり動揺していた。
「義清。最近堀河さまと親しく付き合っているんだって?」
ある日任務についていたら、同僚の平清盛にそんなことを聞かれて、義清は焦った。
「大した奴だなあ。真面目そうな顔して、待賢門院さまのところの女房と。身分も年齢も向こうのほうがずっと上なのに、よく口説き落とせたな」
「……ただ歌を通じての交流だ」
義清はごまかした。
「頻繁に通い詰めて、朝帰りを繰り返しているそうじゃないか。奥方にも気づかれているんじゃないのか? 急に夜勤が増えたと言い訳しても、無理があるだろ?」
「……」
義清は答えに窮した。
「……ちょっと気になっているんだけど。お前、待賢門院さまのお姿を見てしまってから様子が変だった。いきなり堀河さまに接近し始めたのもそれからだ。お前まさか、大それたことを企んでいるんじゃなかろうな」
何も考えていないように見えて、清盛は非常に勘がいい。
清盛の追及に、義清はかなり動揺していた。