花の下に死す
 「あなたはまだお若い。なのになぜ、何もかもあきらめたような日々を過ごされるのです?」


 「……」


 「そんな出口のない迷路のような毎日から、あなたをお救いするのが私の使命だと考え、今宵こうして馳せ参じたのです」


 「だけど、どうしてそこまで」


 「待賢門院さまをお慕い申し上げているからです」


 「私を?」


 「こうして待賢門院さまをお助けしたいと願う者がここにいることを、是が非でも知っていただきたくて」


 くどくどとここまでやって来た理由を述べることに、義清は違和感を覚えていた。


 苦悩に満ちた毎日から救うため?


 力づけてあげたいと願って?


 違う、そんなの建前だ。


 本音は?


 ……抱きたい。


 一度でいい、想いを遂げたい。


 細い体を腕の中に包み込んでいるうちに、抑え切れずに……。


 「やめて……!」


 はじめての契りは、強引でかつ力ずくなものだった。


 相手の気持ちを慮る余裕などなかった。
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