不器用な俺の恋
佐山の気持ち
森田と七瀬のお見舞いに行くことになった

会えなくてもいい

俺も七瀬のとこに行きたかった


七瀬は、県内で1番大きい病院に移されていた


車で1時間かかった


病室の前に長椅子があり、そこに叔父夫婦がいた

「七瀬さん、こんにちは」

「先生!!来て下さったんですか!
先ほど、意識が戻りまして
菅井先生にご報告したんです!」

「そうですか!!よかった!!」

「こちらは?」

「結さんと同じクラスだった、森田です」

とりあえず、挨拶を交わした


森田が緊張しているのが、伝わる

七瀬はこの2人から、虐待されていたんだ


前と雰囲気が違うのは、本当に七瀬を心配しているからだ

夫婦仲が悪そうだったのに

今は、手を取り合っている

「昨年夏に、受けた手術は成功していたのですが…
運動をしたことで… 再発したみたいです
病院に半年通っていなかったみたいで
貧血の負担で心臓も良くないとのことです
私のせいで……
私たちがちゃんとしてなかったばかりに」

叔父が涙ながらにそう言った

「どこが悪いんですか?」

「すみません……」

申し訳なさそうに頭を下げられた

言いたくないってより、言えなさそうだ


「七瀬さん、中に入る準備しましょう!」


看護婦さんが声をかけた


「あの……僕たちも入っていいですか?」


「すみません、ご家族だけです」


断られるとわかってたけどな


「森田…残念だけど…俺らはここにいよう」

「ん」

七瀬…この〝ん〟を真似してたな

「森田…大丈夫か?」

「ん」

ずっと下向いている

連れてくるべきじゃなかったかも

俺が怖ーんだ、森田だって…

「森田?帰るか?」

「出てくるまで待ちたい」

左手で森田の肩を抱きよせた

「大丈夫だからな!!」

「ん」


強がんなよ…ったく!!
< 119 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop