不器用な俺の恋
七瀬のアパートは、学校の近くだった

部屋の中は、綺麗に整理整頓、掃除されていた

「七瀬…話してくれないか?」

七瀬は、上着を脱いだ

「抱いてくれたら…話す」

「馬鹿なこと言うなよ!教師だぞ!」

「生徒の一生のお願いでも…?」


俺の返事も聞かないまま、シャツのボタンを外す


灯りの下で見た、七瀬の体は痣だらけだった

「背中も…」

そう言って、俺に背を向ける

「汚いでしょ?たぶん消えない……
このまま誰にも愛されず死ぬんだよ…」

七瀬を後ろから、抱きしめる

「ちゃんと病院いったら、治るって!」

「治らなくていい…」

「諦めんな!」

「薫…今だけあたしを好きになってよ?
あたしを抱いて?
生きててよかったって思えるくらい…」

七瀬が振り返ってキスをしてきた

それに答えて深いキスをする

七瀬の体の痣に口づけをする

くすぐったいのか

時々声を出す

「七瀬…初めてだろ?」

「うん…優しくしてね…薫…」

体を触っていてわかった

教え子の弱みにつけこんで最低な教師

だけど、話を聞きたかった

愛してやりたかった


「思ったより、痛くないんだね!」


七瀬が笑って言った

「言えよ?」

七瀬は、楽しい昔話でもするように

今までのことを話し出した

俺の知らない七瀬がたくさんいた

辛いことも話してくれた

高橋のことも

高橋とはキスもしなかったらしい

結婚してからだって… 高橋らしいな


「薫…ひいた?」

「ばーか!愛してるよ!」

「やだ!キモイ!!」

「これからは、何でも頼れ!!」

「気が向いたらねー っうっ!!」

「おい!大丈夫か?」

七瀬が頭を抱えて、苦痛に顔が歪む

「平気。片頭痛持ちなの……」

「そうか?」





話してくれたからか

七瀬が笑ったからか



病院に連れて行かなかったこと


後悔することになる



俺は、テニスが出来なくなった理由


聞いてなかった……




七瀬…ごめんな



ちゃんと聞いてやれなくて……
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