不器用な俺の恋
「個人のプライベートを教師が言うのは、タブーなんだが…
お前達は、あいつの家族だからな…
あいつさ、入試の時、このクラスを受けてたんだ
内山 結、隣の県の進学校、M高校の高等部に合格してたのに、かわった奴だなって思った…
面接の時には一言も口を聞かないし、目も合わせなかった
すぐにわかったよ、親に無理やりここに入れられたんだって
試験が終わった後、廊下で見かけて声かけたんだ

ガン無視された

だけど…
『佐山先生、あたし…生まれかわりたい』
って言ったんだ……
すげえ辛そうな顔して……
入学してきたら、俺が守ってやろうって

でも、俺の名簿に名前なくて、やっぱりM高校に戻ったんだって…
俺が早く見つけてやればよかった
菅井先生にかなり暴力振るわれたらしく

あいつが髪を赤にしなかったら、気づかなかったかもしれない

山内から七瀬に変わってたし

あいつを説得するの、かなり大変で

テニス部の顧問になってやるとか、色々な手を使ったよ

やっとお試しで、このクラスに来ても

『むさ苦しい』とか言うし

学校辞めるとか言い出したときに

何となく…親御さんの様子がおかしかったから、なんかあると思った…

俺が親だと思っていたのは、叔父叔母で、2人から虐待されていたらしい…

それに気づいたのは、高橋が亡くなって
菅井先生に連れて行かれた日だった

ずっと…耐えてたんだ

はぁー

月曜日に七瀬を引き取ったおじいさんが
亡くなった
学校休むって連絡あって、通夜に行った

高橋の時もだけど…

泣かずにいたよ……

おじいさんとのお別れだから、邪魔しちゃ悪いと思ったが、連れて帰ればよかった

叔父叔母から、また暴力受けて……

顔とか腫れてるんだと…

だから、皆に会えないって

予定早めて、
東京の病院に行ったんだ

昨日、無事に入院の手続きとかも出来たって、連絡あったけど

どこの病院か、教えてくれねぇんだ…」


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