不器用な俺の恋
金髪で目立つはずの結を見かけない

そんなある日

菅井と結が中庭を歩いていた

何かを菅井に言われていた

菅井がゴミ箱を倒した

結を残して菅井が、普通科棟へ戻る

ゴミを拾い、倒れたゴミ箱へ戻す結


菅井の野郎!!

勢いよく、席を立つ!!


「森田!!なんだ!?」

「あっ!いや…」

「座れ!!」

「……はい」


くっそーーー!!!

授業中だった!!!


多分、色んな科の学年の窓席から見える

見せしめじゃねぇーか!!!

ゴミを戻し終え、結が戻って行く


菅井なんかの言いなりなんて、おかしい!


クラスの中でも、そんな話になった


それから、何人かが結を見かけて、声をかける

皆、無視されたらしい


信也も、蘭ちゃんも…


仲が良かった人とは、誰とも話さなくなった

染谷もその1人らしく


「先輩!!結さん、どうしたんですか?」

「こっちが知りてぇーよ!!」


教室まで聞きに来た
結が、月命日にベンチにもこないからだ

その日の5限

音楽の授業、卒業生に贈る歌の練習

音楽の先生は、まだ産休

佐山が結を借りてきた

菅井のクラスはこの時間、体育

運動を禁じられた結に、ピアノをひいて貰いたいと、菅井に頼んだのだ

ピアノの前に座り結は、視線を落とし皆を見ないようにしていた


佐山が楽譜を探している間に


結がピアノを弾き始めた


「ひこうき雲」 ○井 由実


健ちゃんの歌だ……

健ちゃんの為に歌っているんだ……



歌を聴いて泣いてる奴もいた



結は、空っぽな表情で


「佐山先生?まだですか?」

「見つからなくて…」

「なんて曲ですか?」

「わからない…卒って…書いてるってきいたんだがなぁー」

「……」

「なんで、ねぇーんだよ……」

「……」


佐山が1人焦って探す


「めんどくさい……」


結が呟いた

「佐山先生、七瀬もう良いですか?」

菅井がきた

「良いみたいですよ!いきましょー!」

「こらこら!おすなよ!」

結が菅井を方向転換させて、出て行く





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