不器用な俺の恋
翌週、またまた音楽の時間

佐山が結を呼んだ


伏し目がちに、すっげえだるそうにピアノの前に座る


「久しぶりだな?元気か?」

「……」

佐山が声をかけるが、反応なし!!


「七瀬、今日は話をしないか?
ここは、音楽室だから、内緒ごとも平気だ!」

先週の出来事は、報告済み


「……」


結は、何も話す気がなさそうだ…


「七瀬!このクラスは皆、お前の味方だからな?」








どれほどの沈黙だったか……





結がピアノを弾き始めた


弾くだけで、歌わなかった


この曲は……


○リカム 「すき」



楽譜なしで弾いてるから

一度、どこかで演奏しているんだろう




弾き終わったら、音楽室を出て行った





俺は帰り道、このCDを買った



俺たちとの別れに弾いたのか



俺たちを避けることで空いた、心の穴を
伝えたかったのか


どちらにしても、結が俺達を〝すき〟って
ことは、はっきり伝わった


何か原因があるんだ!!
俺達を避ける理由が!!


結の笑顔を取り戻す!! 目標が出来た!!
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