セルフィシュラブ




月岡が教壇の上に再び立ったところで間宮がそっと後ろに振り返った。口元をニヤつかせているその顔はかなり怪しい。



「やべーじゃん。大姶良やべー。月岡先生に狙われてるー」

「…シャーペンぶっ刺すよ」



淡いピンクのチークが塗られた頬を目掛けてシャーペンの先を向ける。脅しのつもりなのに間宮は「うけるー」とまた笑うだけ。…なんか疲れる…。


さっき月岡に触られた腕を擦りながら溜め息を吐いた。なんなんだあの男。私が昨日暴言吐いたことをまだ根に持っているのだろうか。大人のくせに。



「…、」



プリントを書かず頬杖をついてあからさまにやる気がない態度をとると、ふと顔を前に向けた月岡が私を捉えた。



「瑠依さーん。聞いてますかー」

「(…マジくたばれ)」



昨日の仕返しをするなんてネチネチしてる男。信じられない。


迷惑な思いをしているというのに周りの女子から羨望の目で見られて代わってくれるなら是非とも代わってほしいと思った。


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