セルフィシュラブ





「おーい、今日の日直誰だー?」



突如教室に響き渡る担任の声。昼休みの今、ご飯を食べていた生徒達は教室に顔を覗かせる担任に目を向ける。


ハンバーグを食べようとしていた私も手を止めて担任を見つめた。



「…今日の日直誰だ?」

「黒板に書いてあんだろ。…えーっと、日直は、」



クラスの男子が日直を探し求めているとき、心の中で「あ、」と呟いたのはこの私。



「せ、先生私です」



ガタンと席を立つと男子も担任も友人達も一斉に私を見上げる。



「おー、大姶良(おおあいら)か。持って行ってほしい物があるからちょっと来てくれないか」

「い、今ですか?」

「おう。けっこう量があるから男子もう一人ぐらい来てほしいけどな」

「あ、じゃあ先生。俺行きまーす」



何の迷いもなく聞こえた声。振り返ってみれば帰宅部のエースと言われている山根君が手を挙げていた。



「おーおー。助かる助かる。じゃあ大姶良と山根ちょっと来てくれ」



帰宅部のエースとイケメンが苦手な私が先生に呼ばれる。ちなみに帰宅部のエース山根君は、一年間のとき一週間だけ地学部に所属していたらしい。辞めたあとはずっと帰宅部。すぐに帰るせいでなぜかエースと呼ばれる今日この頃。






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