叶う。 Chapter2
凛が一瞬びくっとしたけれど、私は凛の手をぎゅっと握って安心させるように撫でた。
部屋の扉が小さく音を立てて開いた。
「おーっす。」
スウェット姿のレオンがご機嫌なご様子で私の部屋に入って来た。
レオンは私のベッドに座ると、凛と私が座るソファに視線を向けた。
凛はレオンの姿に怯えたようで、繋いだ手が小刻みに震えている。
「こりゃ、随分ひでぇな。」
怯える凛の顔を見ながら、レオンがしかめっ面になる。
凛はそんなレオンに未だ怯えた様子で、落ち着かないように視線を動かしていた。
凛のその不自然な行動に私はある事に気がついた。
ひょっとして、凛はレオンと会った事がないのではないかと思った。
凛が会った事があるのは、シオンの方であることはさっきの凛の言葉で分かったけれど、そもそも凛は私の兄が双子であることすら知らないのかもしれない。
「ひょっとして、凛と会った事ない?」
私は相変わらずしかめっ面で凛を見つめるレオンにそう聞いた。
「こんな美人さんは会ったら忘れないよw」
レオンはそう言って優しく笑う。
凛の目が驚きで大きく見開かれた。
「あのね、兄は双子なの。多分、凛が会ったのはシオンの方だと思う。こっちはレオンだよ。」
私が凛にそう言うと、凛はやっと状況が理解出来たようだった。