叶う。 Chapter2
私はリビングに着くと、欠伸を噛み殺しながらその扉を開けた。
すると、いつの間に帰宅したのか、双子が揃ってまたソファで勉強していた。
こうして見ると、さっきまでの出来事が全て夢だったんじゃないかとすら私には思えてきた。
私は無言でキッチンに入ると、いつも通り電気ケトルに水を入れてスイッチを入れた。
せめてものお礼にコーヒーくらい入れてやっても罰は当たらないだろう。
「あーちゃん、あの子寝たの?」
相変わらずあまり勉強する気がなさそうなレオンがそう言って私の方を向いた。
「うん、ありがと。」
私はレオンに笑顔でそうお礼を言っておいた。
ちらりとシオンに視線を向けると、シオンはどうやら教科書に夢中な様子だったので、そっとしておくことにした。
「それにしても、ひでぇ傷だったな?あれ治るのか?」
レオンはそう言って立ち上がると、ダイニングテーブルにやってきてポケットからタバコを取り出した。
私はそんなレオンにちょっと驚いた。
タバコを吸っている事は知っていたけれど、こんなに堂々と目の前でタバコを吸われた事がなかったからだ。
ひょっとすると、レオンは私があの子じゃない事に気付いているのかも知れないと思った。