叶う。 Chapter2




電気ケトルから立ち昇る湯気と、タバコの白い煙のおかげでレオンの表情はよく分からない。

だけれど、冷静に考えてみたら双子なのだ。

だから頭の回転の速さは、きっとどっちもどっちに違いない。
ただ、レオンにとっては私がどっちであろうときっと構わないんだろうと思った。

馬鹿なあの子だろうと、今の私だろうと、きっとレオンにとっては扱い方がかわるだけで興味がないというのが本音なんだろうと感じる。

シオンはあの子に執着しているけれど、レオンにとってはどっちでも良いんだろう。

私はそう考えて、ほんの少しレオンの事が好きになった。
あの子じゃなくても、私を受け入れてくれるということに、何故かとても気分が良くなった。


「傷きえないかなぁ・・・」

私はコーヒーを淹れながら、レオンにそう聞いてみた。

「まぁ、大丈夫だとは思うけどな。女の子だから消えないと困るな。」

私は淹れたコーヒーをレオンに差し出して、もう一つをシオンの元に運んだ。

シオンは相変わらず無愛想に教科書とにらめっこしていたけれど、私がコーヒーを置くと一瞬だけちらりと私と視線を合わせた。

その冷たい蒼い瞳に、なぜか心がまた不安定になる。


私はすっと瞳を逸らすと、レオンにお風呂に入る事を伝えてリビングを出た。




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