叶う。 Chapter2
リビングを出たのは夜中の1時くらいだったから、私は今日は学校に行ける気がしなかった。
バスルームで丁寧に全身をくまなく洗い上げながら、私はまた欠伸をした。
なんだかんだと、最近は学校をサボり過ぎな気がした。
しかも、手の怪我のおかげでピアノも弾けない。
このままだと、色々と面倒な事になりかねない。
何時も真面目に生活していたあの子が、急に学校をサボったりピアノの練習すらしなくなったら、一番心配するのはきっとママだろう。
それに、ママに心配されるって事は永島先生に益々疑われる事になってしまう気がして、私は少し注意しようと思った。
バスルームを上がると、私は身体にバスタオルを巻き付けて濡れた髪を別のタオルで丁寧に拭いた。
髪を乾かして、肌のお手入れをしたかったけれど、自分の部屋でそれが出来ない事に気付いて溜め息を吐いた。
それだけじゃない。
今日は何処で寝ようか?
ママが帰って来たら事情を話して、ママの部屋で一緒に寝かせて貰おうと考えていた私は、未だに帰宅する気配のないママに、きっと朝まで帰らないだろうとふと思った。
最近のママは忙しいと言っていたし、帰りもいつも明け方だった事を思い出した。
私がバスタオル1枚でそんな事を考えていると、突然バスルームの扉が開いた。