叶う。 Chapter2




和也は最近、私にとっての安定剤と言うか、心の拠り所だった。

和也の声を聞くだけで、私はとても気分が落ち着くし、和也と一緒に居るだけで、私は何故かとても優しい気持ちになれた。

シオンはそんな私を、相変わらず冷めた視線で監視してくるけれど、何故か和也に関しては何も言わないし、何かする気配もない。

樹の時はあれだけ怒ってたのに、何故和也に対してはその存在を知っている筈なのに怒らないのか私はとても不思議だった。

だから、私はママやレオンにも彼氏が居る事を教えてあるし、ママに至っては和也と一緒に食事すらした事があるくらいだった。

和也はママのお気に入りだから、シオンもおとなしく見物しているのかとも思うんだけれど、何だか違う気もする。

例えママがどんなに樹が気に入っていても、シオンは樹に対してだったらきっと同じ結末で終わらせていたはずだ。

その違いが何なのかは全く分からないけれど、私はシオンが和也にちょっかいを出さないなら、気にする必要もないと考えていた。

それに心配だった学校での嫌がらせは、今のところ何の被害もなかった。

凛といつも一緒に居るせいもあるかもしれないけれど、和也達は私と凛を約束通りきちっといつも見張っていたから、私達に対する嫌がらせは、あの下駄箱の紙切れ事件以来何も起きていない。




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