叶う。 Chapter2
なんだか毎日が平凡で、とっても幸せに感じた。
だからだろうか、私はいつの間にか憎しみの気持ちが薄らいでしまうような恐怖に苛まれるようになった。
だから、毎日のように見る悪夢に、段々と眠る事が嫌になってきた。
目覚める度に、あの汚い大人達の姿を思い出しては気分が悪くなる。
結局それを解決する為には、復讐するしかないと毎朝目覚める度に心にそう誓っている。
だけれど、それは物凄く沢山の労力とお金がかかる事だから、今はとてもじゃないけど出来る状況じゃなかった。
今、私に必要なのはグランプリをとる事と、ほんの少しの安眠、ただそれだけだった。
それが済んだら、きっと私の心は満たされて充分に復讐の計画を練る事が出来るはずだ。
大丈夫、私ならきっと上手くやれる。
そして目的がすべて済んだらどうしようか、とふと考えた。
このまま生きる?
それとも、全て終わらせる?
そんな事を少しだけ考えてみたけれど、私にはまだ答えを出す事が出来なかった。
だけれどほんの少しだけ、深い海の底で眠るあの子の事を思い出した。
全てが終わった時、あの子は目を覚ますのだろうか。
私はそんな自分の考えに嫌気がさして、携帯をベッドに放ると、再び防音室に向かった。