叶う。 Chapter2



「まぁ、アンナ!とっても可愛いわ。」


三時間もかかって、私の髪型は別人みたいに綺麗になった。

店長さんのお薦めで、全部の髪は染めないで表面的にはママとお揃いのシルバーブロンドに染めたけれど、所々がメッシュになるように、元の髪を少し残した。

仕上がりは上々、私はとってもご機嫌だった。
あの汚ならしい長い髪がさっぱりとしただけでも大満足だった。

ママはそんな私を嬉しそうに眺めては、可愛い可愛いと沢山言ってくれた。
だから私も、ママの綺麗に整えられたネイルを羨ましがった。

女と言うのは案外単純なので、お洒落なんかを共有出来るだけで会話は尽きない。

そのお陰か美容院を出る頃には、ママと私はファッションや美容の話が尽きなかった。

「折角だから、ショッピングに行きたいわね。」

私を助手席に乗せると、ママは運転席を開けながらそんな事を言った。
私も行きたい気持ちはあったけれど、朝から動きっぱなしだったので正直疲れ気味だった。

「ママとお買い物行きたいけど、時間大丈夫?」

「あぁ、もうこんな時間なのね。じゃあ、ショッピングはまたにしましょうか。」


時刻は夕方の4時近かった。
手を怪我しているので、暫くピアノはお休みする予定だけれど、ママは今日もお仕事のはずだ。

「うん。今度の楽しみにとっておきたい!」

私が元気にそう言うと、ママは満足気に微笑んで車のエンジンをかけた。



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