叶う。 Chapter2
正直、この部屋を褒められても嬉しくなかったけれど、私はにっこり笑っておいた。
「何か温かい飲み物淹れてくるね、適当に座ってて。」
今だ子供みたいに、目をキラキラさせて私の部屋を観察している和也にそう言って、部屋を出た。
リビングで紅茶を淹れてカップを二つ取り出すと、きちんとお盆にのせて部屋に戻った。
部屋の扉を開けると、何故か和也は私のベッドに座って居た。
ソファがあるのに、なぜベッドに居るのか疑問に思ったけれど、私はソファの前に置かれたテーブルに、紅茶を乗せたお盆を置いた。
「紅茶で良い?」
「……うん、何でも。」
何だか少しだけ、和也の声音が変わった気がしたけれど、私はそのままカップに紅茶を注いだ。
「ねぇ、かなう?」
「うん?」
「かなうの部屋って、家族の人入って来たりする?」
私は一瞬、和也の言ってる意味が良くわからなかった。
シオンは勿論、勝手に入って私を抱いて勝手に出ていくけれど、レオンやママは滅多な事がなければ部屋に入って来ることはない。
普通の家はどうか分からないので、私は当たり障りないようにこう答えた。
「たまに家族も来るけど、ほとんどないよ。リビングに居ることが多いから。」
「……そうなの?」
「うん?」
何か言いたげな和也と視線が合うと、私は小さく首を傾げた。