叶う。 Chapter2
触れるだけの優しいキスから、段々と舌を絡められる深いキスにかわって、私は思わずそのまま溺れてしまいそうになった。
心臓は痛いほど鼓動を刻み続けているのに、何故か突然、頭が割れるかと思うほどの頭痛が押し寄せた。
酸欠なのかと一瞬思ったけれど、痛みはどんどん増すばかりで、ゆっくりとベッドに押し倒された瞬間、私は余りの痛みに気が遠くなりそうだった。
咄嗟に力の入らない手で和也の胸を押した。
余りの痛さに、私の額から脂汗が吹き出していた。
和也は直ぐに私の様子がおかしい事に気がついたようだった。
「ご、ごめん‼大丈夫?」
私は痛む頭を押さえながら、必死に頷いた。
「と、といれ……」
私はふらふら立ち上がると、壁に手をつきながら何とかトイレまでたどり着いた。
トイレに蹲ると、あまりの痛みで胃の中の物を全て吐き出した。
そしてそのまま、トイレで倒れ込むように膝をついた。
必死に深呼吸を繰り返す。
「……かなう?」
開けたままのトイレのドアから、和也が声を掛けてきた。
きっと、追いかけて来たんだろう。
ゆっくり深呼吸をしたのが良かったのか、それから暫くして、頭痛は何事もなかったかの様にすーっと引いていった。
私はゆっくりと身体を起こすと、振り返って和也を見つめた。