叶う。 Chapter2
でもそれを隠し通す自信もなかったので、私はどう伝えるのが最善かを考えた。
だけれど最善の答えなんて見つからない。
レイプされたと言えば、汚らわしいと思われるかもしれないし、初めてじゃないって言ったら今まで純粋な振りをしていた事に疑問を持たれるだろう。
だけれど結局のところ、中途半端に嘘を吐くのならはっきりと伝えるべきだと思った。
「……ごめん、ね。初めてじゃないよ……」
私がそう言うと、和也は酷く動揺したように私から視線をそらした。
それはそうだろう。
純粋で汚れを知らないと思っていただろうから、突然そんな事を言われても、多分納得出来ないんだろうと思った。
だけれど嘘を突き通すには、色々な意味でリスクが高すぎた。
「こんな事言いたくなかったんだけど……」
気まずい沈黙の中、和也が静かに言葉を選ぶように話始めた。
「かなう、この前さ。」
「……うん?」
「樹先輩と一緒に居なかった?」
突然言われたその名前に、私は忘れていた記憶がふと蘇った。
それと同時に、何故和也がその事を知っているのかが頭を過る。
何だかとんでもなく、嫌な予感しかしなかった。
樹に関して言えば別にどうでも言い訳出来るし、凛だって理由を話せば和也にちゃんと説明してくれるだろう。
だけれど、和也の質問は更に私の予想を遥かに越えた内容だった。