叶う。 Chapter2




「・・・一緒に居たけど。樹さんとは何もないよ?」

私は予め、そう言っておいた。
深く質問されるのもあまり好ましくないし、一緒に居た事は事実であることには変わらない。

「なんで一緒に居たの?」

「それは・・・その・・・凛のことで。」

私は少しだけ言葉を濁してそう言った。

「凛のことって?」

和也は何故かいつもよりも素っ気無い言い方でそう聞いてきたので、私はほんの少し悲しい気持ちになった。

「樹さんと凛の事だからあまり言いたくないけど、2人が別れるのにちょっと関わっただけだよ。」

私は余計な事はなるべく避けるように、だけれど疑われたりしないように素直にそう言った。

「そうなの?」

「・・・うん、そうだよ。」

もうすっかり頭痛は治まっていたのに、何故か今度は胃がきりきりと痛む。

「噂、なんだけど・・・。」

和也はそう言って、私をしっかりと見つめた。
私は嫌な予感しかしなくて、更に胃に痛みが増した気がした。

「樹先輩がかなうとクラブに居たって。」

「うん?」

「その次の日から・・・樹先輩が消えたって。」

消えた?
私は何て答えるべきか分からなかった。

樹は消えたんじゃなく、消されたんだと思った。

だけれどそれは、和也には言えないし、私自身ももう忘れてしまいたい事だったので、私は言葉が出なかった。








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