叶う。 Chapter2
私はゆっくりと身体を起こすと、和也から離れてすっかり冷めてしまった紅茶を飲むためにソファに座った。
少しだけ離れた距離に、何故か物凄く安心した。
「・・・かなう?」
「・・・うん?」
「一つだけ聞いてもいい?」
和也はそう言って、私を真っ直ぐ真剣な眼差しで見つめた。
私はティーカップを両手に持ったまま、そんな和也をじっと見つめ返した。
「かなうとお兄さんは本当の兄妹なの?」
和也の言葉は全くの予想外で、私の手からティーカップが滑り落ちた。
ガシャンと大きな音がして、床に落ちたカップが勢いよく割れる。
割れたガラスの音に、なぜだか動悸が早くなる。
私は動揺がばれないように、しゃがんでガラスの破片を集め始めた。
「危ないから、俺がやるよ。」
和也はそう言って私の所にやってくると、私を制止して割れたカップを集め始めた。
私は無言でバスルームにタオルを取りに向かった。
どうしよう、何だかとっても嫌で憂鬱な気分だった。
和也の隣はいつも私にとって安心出来る場所だったのに、それが音もなく崩れ去ったような気分だった。
私が頭痛さえ起こさなければ、今頃は2人でベッドでまったりと過ごしていたのかもしれないと思うと、尚更この状況を怨めしく思った。